症状別サプリメント/脳のために


脳のために ― 脳と自律神経

脳のために ― 4つのページでお話しします
脳のしくみと、脳を傷めるもの/よくある脳の病気と、お薬のこと/正しく食べて脳を守る/◆脳と自律神経(このページ)
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元に戻そうとする力

暑い日には、からだは熱を逃がします。寒い日には、熱を逃がさないようにします。驚けば心臓がどきどきし、落ち着けば静かになります。ごはんを食べれば胃腸が動き出し、眠れば呼吸もゆっくりになります。

どれも、ワンちゃんも、ネコさんも、フェレットちゃんも、自分で「そうしよう」と思ってしているわけではありません。からだには、乱れても、元の状態に戻そうとする力が備わっています。この力を、ホメオスタシス(生体恒常性)といいます。

ホメオスタシスは、3本の柱で支えられています。

  • 神経
    からだの状態を感じ取り、すぐに指令を出す。
  • ホルモン(内分泌)
    血液にのって全身に届き、少し遅れて、長く働く。
  • 免疫
    からだの外から入ってきたものや、傷ついたものに立ち向かう。

この3本は、別々に働いているのではありません。手をつないで、いっしょに元の状態へ戻そうとしています。

そして、「神経」の柱の中心で、心臓・呼吸・胃腸・膀胱・血管・体温を、休むことなく動かしているのが、自律神経です。

このコラムの「脳のしくみと、脳を傷めるもの」「よくある脳の病気と、お薬のこと」「正しく食べて脳を守る」のページでは、脳そのものを守るお話をしてきました。このページでは、脳が、自律神経を通して、からだ全体をどう動かしているのか、そして、暮らしとごはんで、その働きをどう支えるのかをお話しします。

脳に対して、直接働きかけることはできません。けれども、脳の負担を減らすことが、乱れの暴走を抑え、改善に導くと、当店では考えています。そして、ホメオスタシスを守ることは、毎日を過ごすお家でしかできないことなのです。

ホメオスタシス。神経・ホルモン・免疫の3本の柱が、ふだんはバランスを保ち、ストレッサーが加わると元に戻そうと力を合わせる

第1章 自律神経の司令塔は、脳にある

自分の意思では動かせない神経

神経には、自分の意思で動かせるものと、動かせないものがあります。

  • 体性神経
    歩く、走る、しっぽを振る、ごはんを食べる。自分の意思で動かす神経。
  • 自律神経
    心臓の動き、呼吸、胃腸の動き、おしっこをためる・出す、体温の調節。自分の意思では動かせない神経。

自律神経は、生きるために欠かせない働きを受け持つ神経です。生まれる前から備わっていて、教わって覚えるものではありません。

司令塔は、視床下部と脳幹

自律神経の司令塔は、脳の奥にあります。

  • 視床下部
    体温・食欲・のどの渇き・眠り・ストレスへの反応をまとめる、いちばん上の司令塔。ホルモンの司令塔でもある。
  • 脳幹(とくに延髄)
    心臓の拍動、血圧、呼吸、胃腸の動きを、刻一刻と調節する。

場所は、下の「脳の地図」の図でご覧いただけます(「脳のしくみと、脳を傷めるもの」のページと同じ図です)。

脳の地図。ワンちゃんとネコさんの脳を横から見た図。嗅球・大脳・海馬・視床と視床下部・小脳・脳幹の場所と、脳の底から入って表面に広がる動脈、頭のてっぺんを通って戻る静脈

司令塔からの指令は、脳と脊髄から全身に伸びる神経を通って、心臓や胃腸や膀胱に届きます。

脳が傷つけば、自律神経の働きも乱れます。反対に、自律神経の乱れが続けば、からだの中の環境が乱れ、脳にも負担がかかります。脳と自律神経は、切り離せない関係にあるのです。

アクセルと、ブレーキ

自律神経には、2つの種類があります。

  • 交感神経(アクセル)
    目覚める、走る、警戒する、けんかをする。からだを「活動」に向ける。
  • 副交感神経(ブレーキ)
    くつろぐ、食べる、眠る、うんちやおしっこを出す。からだを「休息と回復」に向ける。

多くの臓器は、この2つの両方から指令を受けています。どちらかに傾きすぎると、反対側の働きが落ちて、からだに不具合が出てきます。大切なのは、両方のバランスです。

ただし、自律神経は、アクセルとブレーキが単純に引っぱり合うだけのしくみではありません。場面によっては、両方が同時に強まることもあります。また、血管の多くは、交感神経だけで太さが調節されています。単純ではないからこそ、からだは、細やかに状態を保てるのです。

アクセルとブレーキ。交感神経と副交感神経が、瞳・よだれ・被毛・心臓・血管・気管支・胃腸・膀胱・うんち・肝臓・膵臓・汗にどう働くかの表

からだの場所交感神経(アクセル)副交感神経(ブレーキ)
瞳大きくなる小さくなる
よだれ少なく、ねばるさらさらと多く出る
被毛毛が逆立つ―
心臓速く、強く打つゆっくり打つ
血管・血圧多くの血管が縮み、血圧が上がる多くの血管には、直接はほとんど働かない
気管支広がる狭まる
胃腸の動き・消化液動きや分泌が抑えられる動きや分泌が促される
膀胱膀胱がゆるみ、出口が締まって、おしっこをためる膀胱が縮み、おしっこを出す
うんち腸の動きが鈍り、ためる方向に腸が動き、出す方向に
肝臓ためていた糖を分解して、血液に出す糖をためる方向を支える
膵臓インスリンが抑えられる方向にインスリンが促される方向に
汗(ワンちゃん・ネコさん)肉球に汗をかく―

ワンちゃん・ネコさんで、体温を下げるのに役立つ汗は、ほぼ肉球だけです(被毛の部分にも、別の種類の汗腺はあります)。緊張した子の肉球が湿っているのは、交感神経が働いているしるしです。

第2章 ストレッサーとストレス

原因と、反応は別のもの

「ストレス」というと、人の悩みごとを思い浮かべる方が多いと思います。けれども、本来の意味は少し違います。

  • ストレッサー
    からだに加わる刺激。ストレスの「原因」。
  • ストレス
    ストレッサーに対応しようとする、からだの「反応」。

つまり、ストレスは結果です。生きているかぎり、からだは毎日、たくさんのストレッサーを受けて、そのたびにホメオスタシスが働いて、元に戻しています。うまく戻せているうちは、何も感じません。対応しきれなくなったときに、不調として表に出てきます。

ストレッサーは、大きく5つに分けられます。

種類シッポたちの例
外から環境寒さ・暑さ・急な温度の変化・音・光
外から化学空気の汚れ・日用品の化学物質・お薬・食品添加物
外から生物細菌・ウイルス・カビ・花粉
内から社会お留守番・引っ越し・新しい家族・通院や入院
内から心理怖がりな性格・飼い主さんの不安を感じ取る

寒いお部屋で、長いお留守番。そんな日々が重なれば、シッポたちのからだは、ストレッサーだらけになってしまいます。

からだの反応には、2本の道がある

ストレッサーを受けたとき、からだは2本の道で反応します。

  • 速い道
    脳から交感神経を通って、腎臓の上にある副腎の芯(髄質)へ。アドレナリンが出て、心臓が速く打ち、血糖が上がり、すぐに動ける態勢をつくる。
  • 遅い道
    視床下部から、脳の下垂体、副腎の皮(皮質)へ。少し遅れて、コルチゾールというホルモンが出て、エネルギーを全身に回し、からだを長く支える。

どちらの道にも、脳と副腎が関わっています。速い道では自律神経が、遅い道では主に血液にのったホルモンが、からだ全体に反応を広げます。ストレスが短く終われば、からだは元に戻ります。けれども、長く続いたり、次々に重なったりすると、アクセルが踏まれたままの状態が続き、からだのさまざまな働きに負担がかかっていきます。

ストレスの2本の道。速い道は交感神経から副腎の芯へ、アドレナリン。遅い道は下垂体から副腎の皮へ、コルチゾール

シッポたちで分かっていること

  • 病院では、心臓が速くなる
    健康な若いネコさん16匹の心拍を、小さな機械で測った研究がある。1分間の心拍の平均は、自宅で132、病院の静かなお部屋で150、病院で体を押さえて検査を受けている間は187だった。病院にいるだけで、交感神経が強く働いていた。
  • 血圧も、緊張で上がる
    病院で測ると、緊張で血圧が一時的に上がることがある(白衣効果)。上がり方は、その子によって大きく違う。だから、目などに高血圧による傷がなく、急ぐ状況でなければ、1回の測定だけで血圧のお薬を始めず、日を変えて確かめることが勧められている。
  • いつもと違う出来事で、食欲と排泄が乱れる
    健康なネコさん12匹と、膀胱炎のネコさん20匹を、77週間見守った研究がある。お世話をする人が替わるなど、いつもと違う出来事があった週は、食欲が落ちる危険が約9倍、トイレの外でうんちをする危険も約10倍に高まっていた。病気の有無にかかわらず、健康なネコさんにも同じように起きていた。

ストレスは、目に見える体調の変化として表れます。 食欲が落ちた、うんちやおしっこがいつもと違う。そのとき、からだの病気だけでなく、「最近、何か変わったことはなかったか」を思い返してみてください。

お伝えするまでもないことですが、こうしたことは、ネコさんに限って起きることではありません。見た目に変化がない子でも、感じているストレスはあるものとして、考えて差し上げてください。

呼吸に合わせた、心臓のゆらぎ

ワンちゃんの心臓は、息を吸うときに少し速くなり、吐くときに少しゆっくりになります。自律神経のブレーキ(迷走神経)が、呼吸に合わせて強まったり弱まったりするためです。

そのため、聴診器で心臓の音を聞いたり、心電図をとったりすると、拍動の間隔が一定ではなく、リズムが不規則に見えます。これが「洞性不整脈」と呼ばれるもので、名前に「不整脈」とついていますが、健康なワンちゃんでは、多くの場合、自律神経の正常な反応です。息を吸う・吐くのリズムに合わせて、心拍が規則正しく速くなったり遅くなったりしているのが特徴です。

一方で、呼吸と関係なく脈が飛ぶ、極端に速い・遅い、といった不整脈は、心臓の病気から来ていることがあります。「不整脈」と言われたときは、呼吸に合わせたゆらぎなのか、そうでないのかを、たずねてみてください。

第3章 自律神経が動かしているもの

お腹

腸は、長い袋のようなものです。その袋を動かし、消化液を出させているのが、自律神経です。

  • 緊張すると
    アクセル(交感神経)が強まり、胃腸の動きが鈍る。食欲が落ち、便秘に傾く。
  • くつろぐと
    ブレーキ(副交感神経)が働き、胃腸が動き、消化液が出る。うんちを出すのも、副交感神経が促す。

人でも、緊張するとお腹が痛くなったり、食欲がなくなったりしますね。シッポたちも同じです。便秘と下痢をくり返す子、うんちの最中やすぐあとに吐く子、食道や胃の入口・出口の開け閉めがうまくいかず逆流する子。こうしたお腹の不調には、炎症や感染、異物、腫瘍などさまざまな理由がありますが、当店では、その陰に自律神経の乱れが隠れている子も、たくさん見てきました。

お腹と脳は、自律神経でつながっています。てんかんのワンちゃんの腸内細菌を調べた研究では、健康なワンちゃんに比べて、脳のブレーキ役の物質(GABA)を作る菌や、腸を守る物質(短鎖脂肪酸)を作る菌が少なかったと報告されています(どちらが原因かは、まだ分かっていません)。お腹を整えることについては、「正しく食べて脳を守る」のページの第5章でお話ししています。

膀胱

おしっこを「ためる」ときはアクセル(交感神経)が膀胱の出口を締め、「出す」ときはブレーキ(副交感神経)が膀胱を縮めます。正反対の働きを、交互に受け持っているのです。

ネコさんに多い、原因の分からない膀胱炎(特発性膀胱炎)は、膀胱だけでなく全身の問題として捉える「パンドラ症候群」という考え方も提唱されています。この膀胱炎のネコさんの一部では、交感神経が高ぶっているのに、ストレスのホルモン(コルチゾール)の反応が弱い、という「ちぐはぐ」な状態が見つかっています(少ない数のネコさんの研究です)。膀胱の不調を、膀胱だけの問題と考えないこと。からだ全体と暮らしを見直すことが大切です。

安全メモ

何度もトイレに行くのに、おしっこが出ない・少ししか出ない、痛がる、吐く、ぐったりする。とくに男の子では、尿道が詰まっていることがあります。すぐに病院へ。通院できない場合は、ご連絡ください。

心臓 ― 倒れる失神

咳きこんだあと、うんちやおしっこのあと、興奮したときに、ふっと倒れる。こうした失神は、自律神経の反射や、血圧・心臓から送り出される血液の量が急に変わることで起きます。鼻の短いワンちゃん、気管の弱いワンちゃん、心臓の弁の病気があるワンちゃんに多いとされています。

ネコさんの失神は、一般には多くないとされています。けれども当店のご相談では、腎臓病が進んだ子や、食べられなくなってきた高齢の子で、ふっと倒れる、力が抜けて横になる、といったお話を伺うことは珍しくありません(心臓から来る失神のほか、からだが弱って力が抜ける「虚脱」のこともあります)。

失神は、けいれん発作とまちがえられやすいものです。見分け方は、「脳のしくみと、脳を傷めるもの」のページの第7章でお話ししています。

安全メモ

初めて倒れたとき、倒れている時間が長いとき、何度もくり返すとき、元に戻らないとき、呼吸がおかしいときは、すぐに病院へ。通院できない場合は、ご連絡ください。

体温

体温の司令塔は、視床下部です。

  • ワンちゃん
    口を開けてハアハアと息をして(あえぎ)、熱を逃がす。体を冷やす汗は、ほぼ肉球だけ。
  • ネコさん
    毛づくろいの唾液が乾くときの気化熱、あえぎ、血管を広げることで熱を逃がす。休んでいるのに口を開けてハアハアし続けるのは、ネコさんでは普通ではないサイン。

鼻の短いワンちゃんは、熱中症になる危険が、ほかのワンちゃんの約2倍と報告されています。熱中症は「車の中に置いたまま」より、原因が分かった中では、運動によるものが最も多いことも分かっています。

安全メモ

ハアハアが止まらない、ぐったりしている、ふらつく、吐く。熱中症が疑われるときは、冷やしながら、すぐに病院へ。通院できない場合は、ご連絡ください。
ネコさんが休んでいるのに口を開けて息をしているときは、心臓や肺の病気のこともあります。興奮させないようにして、すぐに病院へ。通院できない場合は、ご連絡ください(暑さが原因でなければ、むやみに冷やさないでください)。

第4章 からだのリズム ― 光と眠り

もとは、明け方と夕方の動物

ワンちゃんも、ネコさんも、フェレットちゃんも、もとは明け方と夕方に活発になる動物(薄明薄暮性)といわれています。獲物が動く時間に合わせ、昼の暑さを避けて、長い歴史の中で、このリズムを身につけてきました。

そして、人と暮らすようになって、人の昼のリズムに合わせてきました。お家で暮らす子の活動の時間は、飼い主さんの暮らしに強く左右されます。 それでも、ワンちゃんやネコさんの活動を測った研究では、朝と夕方に活動の山が見られる子が少なくありません。

そして、当店では、体調が悪い子ほど、もとの薄明薄暮性のリズムに戻っていく傾向を、たくさん見てきました。明け方と夕方に食欲が戻る、夕方から明け方にかけて食欲が増す、といった様子です。

自律神経は、このリズムに合わせて、アクセルとブレーキを切り替えています。その子のリズムを知ることが、自律神経を整える第一歩です。

1日のリズム。もとは明け方と夕方に活動する動物といわれ、朝と夕方に活動の山がある模式図。体調が悪い子ほどこのリズムに戻るので、食べてほしいときはその時間帯にごはんタイムを

眠りは、自律神経のリセット

眠っている間、とくに深い眠り(ノンレム睡眠)では、ブレーキ(副交感神経)が優位になりやすく、心臓も呼吸もゆっくりになります。1日働いたからだを休め、疲れをリセットする時間です。

ワンちゃんは、人のようにまとめて眠りません。お家のワンちゃん24匹を夜8時間見守った研究では、平均で約23回、眠っては起きるをくり返していました(1回あたり、16分ほど眠って5分ほど起きる)。細切れに眠ること自体は、ワンちゃんでは珍しいことではありません。

ワンちゃんの眠りの脳波を調べた研究では、新しい体験の多かった日のあとは眠りの中身が変わり、眠ったあとの覚え方とも関わりがあることが報告されています。

「眠っている間に、脳の老廃物が洗い流される」という説を、耳にされたことがあるかもしれません。このしくみは、まだ研究者の間で決着していません(ワンちゃん・ネコさんで調べたものもありません)。確かなのは、ぐっすり眠れる環境が、からだを休めるために欠かせないということです。

シッポたちは、本来、好きなときに好きなだけ眠れる暮らしをしています。それなのに、体調を崩す子が多いのはなぜでしょう。眠りを妨げるもの、自律神経を乱すものが、お家の中にあるのかもしれません。

光

  • 朝は、カーテンを開けて、日の光を入れる
  • 昼は、お部屋を明るく
  • 夜は、暗くして眠る

フェレットちゃんは、日の長さで、からだの性ホルモンの働きが動く動物です。フェレットちゃんに多い副腎の病気では、人工の明かりで日が長く続くことも、素因の1つと推測されています(直接確かめた研究は、まだ少ないものです)。夜は、暗く静かに休める場所を用意してあげてください。

ごはんの時間も、その子のリズムに

ごはんの時間も、人の都合だけで決めず、その子のリズムに合わせてあげてください。当店では、朝も夜も、少し遅めにとお伝えしています。

重い病気の子のお世話をされた方はご存じかもしれません。日中より夜のほうが、しっかり食べてくれる子が多いのです。昼間にがんばって食べさせるより、食べてほしいときは、明け方や夕方から夜の、その子が食べたくなる時間帯に、ごはんタイムを合わせてください。

ただし、食べない時間を長くする、という意味ではありません。昼間も、食べられるときには食べさせてあげてください。食べられない状態が続くときは、「重い食欲不振のために」のページもご覧いただき、早めにご相談ください。

第5章 お家の環境と自律神経

ストレッサーの多くは、お家の中にあります。取り除けるものは、取り除いてあげましょう。

寒暖差と、冷え

急な温度の変化は、自律神経を大きく揺さぶります。とくに、お腹の冷えは、胃腸の動きを狂わせます。

  • エアコンの冷気は、床にたまる
    床に近い高さで暮らすシッポたちは、人より冷えやすい。お部屋の温度だけでなく、床の近くの温度も確かめる。
  • エアコンは、こまめに切らない
    切ったりつけたりすると、温度の上がり下がりが大きくなる。
  • 暖かい場所・涼しい場所を選べるように
    冬用の寝床、ひんやりできる場所。その子が自分で選べるようにしておく。
  • 暖房は、空気を汚さないものを
    灯油やガスのファンヒーターは、燃やした空気をお部屋に出す(換気が足りないと、一酸化炭素の危険もある)。

湿度と、空気の管理

湿度は、50〜60%が基本です。冬のエアコン暖房では、70%が必要なお家もあります。(湿度を高めにするときは、窓や壁に結露やカビが出ていないかも確かめてください)

空気の管理は、お家ごとに違います。

  • 築年数の古いお家
    換気扇を回すと、その空気の流れで、外の空気がすき間風として入り込みやすい。
  • 新しく気密性の高いお家
    24時間の自動換気がついていることがある。

窓の開け方、換気扇の使い方、加湿の仕方。お家ごとの条件に合わせた空気の管理が必要です。

季節の変わり目

「秋風が気持ちいいから、窓を開けて」。人には心地よい風も、シッポたちには、急な温度の変化と、外の空気の汚れ(黄砂・花粉・排気ガス)を運んできます。季節の変わり目に体調を崩す子が多いのは、寒暖差と、乾燥と、外から入る空気が重なるからだと、当店は考えています。外の空気については、「脳のしくみと、脳を傷めるもの」のページの第5章でお話ししています。

天気と気圧 ―「誘因」として

気圧が下がると、吐く、食べない、ぐったりする、発作が起きる。当店では、低気圧の日や、季節の変わり目、空気の汚れた日に、体調を崩す子や発作が重なる子を、たくさん見てきました。

人では、「気象病」「天気痛」という言葉があります。正式な病名ではありませんが、もともとある不調を悪くする「誘因(引き金)」として扱われ、自律神経の関わりが考えられています。

そのしくみも、少しずつ分かってきました。

  • 動物の研究から、気圧の変化を感じるしくみに、耳の奥(内耳)が関わると考えられている。
  • ネズミで気圧を下げると、内耳からの情報を受ける脳の場所で、神経が働いたことを示す反応が増えた。
  • 痛みを抱えたネズミでは、気圧を下げると痛みが強まり、内耳の働きを損なうと、その悪化が見られなくなった。
  • 内耳の平衡感覚のしくみは、自律神経を調節する脳の場所とつながっている。乗り物酔いで吐き気がするのと、同じ道すじ。

人のてんかんでは、低い気圧や気圧の変動と発作との関わりを報告した研究がある一方、関わりが見られなかった研究もあり、まだ決着していません。ワンちゃん・ネコさんで、気圧と発作を直接結びつけた研究も、まだ見当たりません。

けれども、ワンちゃんにも、ネコさんにも、内耳の平衡感覚のしくみと自律神経があります。直接確かめられたしくみではありませんが、同じことが起きても不思議はないと、当店は考えています。むしろ、もともと病気を抱え、対応する力が落ちている子ほど、強く揺さぶられるのではないでしょうか。

ただし、気圧は「原因」ではなく、「上乗せ」です。「気圧が低いから」で片づけてしまうと、取り除けたはずの理由を見逃します。気圧の予報を目安に、その日は無理をさせない、空気を汚さない、ごはんを食べやすくする。取り除ける上乗せは、取り除く。 それが、お家でできることです。

音

ワンちゃんもネコさんも、人には聞こえない高い音まで聞こえています(ネコさんは、ワンちゃんよりさらに高い音まで聞こえます)。

エアコンや家電、超音波の虫よけ器具などから出る、人には聞こえない音が、シッポたちのストレスになっていることがあると、当店は考えています(確かめた研究はまだありません)。機械を動かしたときに、その部屋から逃げる、耳を伏せる、落ち着かない。そうした様子があれば、音を疑ってみてください。

反対に、お留守番のお部屋が静かすぎると、外の小さな物音におびえる子もいます。

また、電磁波(家電・通信機器)や照明についても、当店では気にかけています。

心のストレス

  • お留守番
  • 引っ越し・模様替え・新しい家族
  • 通院・入院・検査
  • 飼い主さんの心配

内から来るストレッサーは、その環境を変えることで、取り除くことができます。そして、シッポたちは、飼い主さんの気持ちを敏感に感じ取ります。心配で張りつめた気持ちは、そのまま伝わります。飼い主さんがゆったりと過ごすことも、シッポたちの自律神経を整える大切な手当てです。

からだを温め、ほぐす

当店では、お家でできることとして、こうした手当てもお伝えしています。

  • 足湯
    ぬるめのお湯に、足先を浸す。
  • 温める
    背中やお腹を、手のひらや温かいタオルで温める。背骨の両側とお腹を、気持ちよい程度にやさしくなで下ろす。
  • 温灸
    お灸の熱で、被毛の上からじんわり温める。皮膚に直接当てず、1か所に長く当てすぎない。

嫌がる子に、無理にする必要はありません。その子が気持ちよさそうにしてくれる方法を探してあげてください。熱すぎるお湯や道具は使わず、必ず手で温度を確かめ、目を離さずに。熱がある子、熱中症が疑われる子、自分で熱から離れられない子、眠っている子にはしないでください。皮膚が赤くなる、熱を持つ、痛がるときは、すぐにやめてください。火を使う道具は、換気と、被毛への引火に気をつけてください。

お家の環境チェック。温度・居場所・湿度・空気・暖房・音・光・心の8項目

第6章 自律神経も、ごはんでできている

神経は、毎日のごはんから作られる

自律神経は、脳が動かしている神経の一部です。そして、脳も、脊髄も、全身に伸びる神経も、ほかの臓器と同じように、毎日のごはんでできています。

  • 脳が正しく働くこと
  • 神経を作ること
  • 神経の信号を伝えること
  • 栄養を届けるよう指令を出すこと
  • 指令と栄養を受けて、臓器が正しく動くこと

どれも、ごはんと栄養につながっています。

自律神経は、心臓や胃腸を動かす指令を出すだけではありません。臓器が働くには、エネルギーが必要です。アクセルを踏めば、ガソリンが要ります。だから自律神経は、ホルモンといっしょに、血糖を上げ下げし、たんぱく質や脂肪を分解したり作ったりする働きにも関わっています。毎日のごはんの質が悪ければ、毎日の栄養のバランスが悪ければ、自律神経の働きも乱れやすくなります。

自律神経に関わる栄養

  • マグネシウム
    神経が興奮しすぎないように、ブレーキ役をする。
  • カルシウム
    神経と筋肉の働きを安定させる。
  • ビタミンB群
    脳の燃料を燃やし、神経の信号を伝える物質(神経伝達物質)を作る。
  • トリプトファン
    気持ちを落ち着かせる神経伝達物質(セロトニン)の材料になるアミノ酸。

それぞれの働きと、足りなくなったときのことは、「正しく食べて脳を守る」のページの第2章でくわしくお話ししています。

ストレスの臓器、副腎を支える

第2章でお話ししたとおり、ストレスの反応の要は、副腎です。ストレスが続くと、副腎は休む間もなく働き続けます。当店では、ストレスが続く子ほど、ビタミンC(ワンちゃん・ネコさんも自分で作れますが、ストレスや病気で使われる量が増えます)・パントテン酸(ビタミンB群の1つ)・マグネシウム・亜鉛を、とくに足りなくさせないことを大切にしています。

副腎を守るために大切なことは、ストレッサーになりうるもの(からだにとって害になるもの)を、口や鼻から、できるだけからだに入れないこと。そして、それらによって消耗する栄養素を加味して、「足りなくさせない」ことです。

お腹を整える

自律神経が乱れると、お腹の動きが乱れます。お腹が乱れると、消化や吸収に影響し、神経の材料も届きにくくなります。消化しやすいごはんで、お腹への負担を減らすことが、その助けになります。くわしくは、「正しく食べて脳を守る」のページの第5章でお話ししています。

空腹の時間を、長くしすぎない

食べない時間が長く続くと、からだはアクセル(交感神経)とホルモンで、ためていた糖を引き出して血糖を保とうとします。子犬・子猫、とても小さな子、病気の子、フェレットちゃんでは、それでも血糖が下がりやすくなります。

とくにフェレットちゃんは、食べたものが胃腸を通るのがとても速い動物です。「ごはんを、いつでも食べられるように」とよく言われますが、それだけでは血糖は守れないと、当店は考えています。ごはんそのものに足りないものがあれば、回数を増やしても解決しないからです。

血糖が下がる時間を長く作らないためには、ごはんの回数の調整だけでなく、1食ごとの足りない栄養をなくし、消化に配慮した食材の組み立てで、少しでもお腹を通る時間を遅らせる工夫をして差し上げてください(いつでも食べられる環境や、こまめに食べることをやめる、という意味ではありません)。フェレットちゃんに多いインスリノーマの低血糖では、よだれ・ふるえといった、自律神経の反応も表れます。くわしくは、「正しく食べて脳を守る」のページのフェレットの囲みでお話ししています。

安全メモ

ぐったりして反応が鈍い、けいれんしている、飲み込めないときは、口に食べ物や水を流し込まないでください。すぐに病院へ。通院できない場合は、ご連絡ください。

自律神経の病気と、自律神経の乱れに見える病気

ホルネル症候群
片方の目の瞳が小さくなる、まぶたが下がる、瞬膜が出る、目が奥に引っこむ。目に向かう交感神経の通り道が傷ついたときに起きます。原因が分からないことも多く、ネコさんでは中耳炎や、耳の処置のあとに起きることもあります。

自律神経障害
自律神経そのものが広く傷つく、まれな病気です。ネコさんでは英国で、ワンちゃんでは米国の一部の地域で、まとまって起きた報告がありますが、日本ではほとんど聞かれません。

自律神経の乱れに似た症状を出す病気
甲状腺の病気、高血圧、低血糖、心臓の病気なども、落ち着きがない、ふるえる、食欲が変わる、といった、自律神経の乱れに似た症状を出すことがあります。「脳のしくみと、脳を傷めるもの」のページの第7章でお話ししています。

フェレットちゃんのこと

フェレットちゃんと、光と、ごはんの時間

  • 夜は暗く、静かに
    フェレットちゃんは、日の長さで性ホルモンの働きが動く動物。副腎の病気では、人工の明かりで日が長く続くことも、素因の1つと推測されている。
  • ごはんは、回数だけでなく中身を
    胃腸を通るのが速く、食べない時間が長いと、血糖が下がりやすい。回数の調整だけでなく、1食ごとの足りない栄養をなくし、消化に配慮した食材の組み立てで、お腹を通る時間を少しでも遅らせる(こまめに食べられる環境はそのままに)。
  • 温度の変化に気をつける
    暑さに弱い。夏のお部屋の温度と、床の近くの温度に気を配る。

むすび 乱れても、元に戻れるからだを

自律神経は、脳が、からだを守るために、休むことなく働かせている神経です。暑さにも、寒さにも、驚きにも、病気にも、からだは自律神経を通して立ち向かい、元に戻ろうとしています。

その「元に戻る力」を支えるのは、特別なことではありません。

  • からだの外から、悪いものを入れないこと
  • 寒暖差・音・光・心配ごとを減らし、暮らしのリズムを整えること
  • ぐっすり眠れる場所を用意すること
  • そして、毎日のごはんで、神経の材料を届けること

必要なものを、きちんと食べて、自分の力で元に戻ってもらいたい。それが、NinnaNannaの食の考え方の根っこにあるものです。

自律神経のことで気になることがあれば、いつでもご相談ください。

脳のためのサプリ・お水・健康茶

これらは治療薬ではなく、獣医さんの治療に代わるものではありません。持病があったり、治療中のお薬がある場合は、原材料と使い方をご確認のうえ、かかりつけの先生にもご相談ください。

サプリメントに関するアンケート




*NinnaNanna(ニンナナンナ)では、シッポを持つ家族の総称としてシッポちゃんと呼びます。
また 犬 をワンちゃん、猫 をネコさんと敬意を以て表現しています。



商品一覧

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ナンナさんのコラム

フード以外の商品は、
ネコちゃん・ワンちゃん・フェレットちゃん共通です。
お迷いの際はご遠慮なくご相談ください。

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